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絵本を無料公開する理由

キングコングの西野亮廣さんが、絵本を無料公開してクリエイターたちに非難されているようだ。炎上に加わるようで話題にするのもやや気が引けるが、僕も軽く乗っかってみようと思う。

キンコン西野 絵本無料公開反対のクリエイターを批判「実力を上げろ」 (デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

絵本を無料公開する理由

上の記事から、一連の流れをざっくりまとめた部分を抜粋してみる。

西野は今年1月、小学生の「2000円では買えない」との意見を聞き入れ、ネット上で同作の無料公開に踏み切った。その後、「アニメクリエーターの収入が奪われる」などの反対意見が続出。炎上状態に陥った。

「自分の同級生はもう母親になっている人が多いんですが、母親は時間にもお金にも余裕がない。だから『外れ』が許されないんです」とし、「本屋で立ち読みしてから買い与えるといっても、その時間もない。だから、スマホとかで立ち読みできるように、無料公開にしたんです」と真意を明かした。

以前の彼のツイートか何かで「お金がなくて買えない子供のために」的な内容を読んだ記憶があるので、上のコメントには少し違和感を抱いたが、それは一旦置いておこう。

抜粋部分を更にまとめると、「無料にした理由は、買う前に中身をスマホで確認できるようにするため」ということになる。立ち読みする暇もない人が、わざわざネットで事前に検索して確認するのかは怪しいが、これも一旦そういうことにしておく。

絵本は無料化しても購入される

最近は様々な場面で当然のように使われているこの「無料お試し」方式だが、「絵本」というジャンルではあまり使われていなかったため、こうして非難されているのだと思われる。そんな無料化反対の声に対する西野さんの意見として、こう書かれている。

「強度に自信があるなら、無料公開をするのは有効。無料公開して売れなくなるのは、一定レベル以下の人です」と反対派をバッサリ斬り捨てた。

「売れなくなるのは、一定レベル以下の人」という表現は強めだが、間違ってはいないだろう。絵本は「子供への読み聞かせ」という用途上、手元に本がなければ意味がないので、内容が良ければ購入されるはずである。

情報量の差は良いものを淘汰する

ところで、「情報の非対称性」という言葉がある。買い手と売り手では、商品に対する情報に差異があるという性質だ。

よく聞くのが中古車の例だ。あなたが車を売るとする。大事に手入れして使ってきた車なので、高値で売れると信じている。しかし買い手からすれば、どのように扱われてきたのかはわからない。過去に他の人から買い取ったものがイマイチだったとしたら、簡単に高値では買い取れない。

想定よりも安い見積り額を言い渡されたあなたは、結果的に売るのをやめるだろう。そんなケースが積み重なると、結果的に良いものは市場に回らなくなる。質の悪いものばかりが増えていく。

これは、僕らが買い手の場合も同様だ。品質が不明確なものに対して、高額を出す気にはなれない。売り手は、質の良いものを売っても値段相応で買ってもらえないから、質の悪いものを売るようになる。こうして、買い手と売り手の持つ情報が違うと、世の中から良いものが淘汰されてしまうのである。

情報の開示で悪いものが売れなくなる

一方で、買い手がしっかり情報を持っていれば、適切な価格が設定される。良いものは高く、悪いものは安くなる。

売り手からの情報開示や無料体験、ユーザーレビューなどで、買い手にしっかり情報が渡っている製品やサービスは、適切な価格になるわけだ。すると、質が悪いものは売れにくくなる。大抵の商品はこうなっている。

今回の絵本無料化の件も、無料化することで、買い手に十分な情報が行き渡り、値段にそぐわないレベルのものは売れなくなる。そういう意味では間違っていないのだろう。…とは言え、絵本の場合はネットで公開しなくても立ち読みできるので、話題作りでしかない気もするが。

そういえば、書いていて思ったが、ブラック企業なんかも同じ原理なのかもしれない。もっと情報が開示され、雇う側と雇われる側が対等になれば、わざわざブラック企業に行く人間はいなくなり、それも淘汰されていくのだろうか。