AlphaGoが見せつける未来への憧れ
Googleの人工知能「AlphaGo」が、世界最強の囲碁棋士、柯潔(Ke Jie)九段と戦っている。全3局で、第1局はアルファ碁が勝利したそうだ。AlphaGoは以前にも他のプロ棋士を打ち負かしたことはあったが、今回も早速勝利を飾った。
グーグルのアルファ碁、世界最強の中国人棋士と対戦 第1局で勝利 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
自信満々の棋士を打ち負かす人工知能
下記の引用からもわかるように、対局前、この棋士はかなり強気だったようだ。
2年以上トップ棋士の座に君臨し、自らを「自信家」と形容したこともある柯氏は昨年、アルファ碁との対戦を視野に「やれるものならやってみろ!」と挑発し、機械には絶対に負けないと豪語していた。
これほど自信を持っていたトップ棋士が、AlphaGoとの対局後には、完全に打ちひしがれている。少し笑ってしまうぐらいに態度が一変しているが、これが人工知能の力である。
柯氏は22日、中国版ツイッター(Twitter)の「新浪微博(Sina Weibo)」に「AIの進歩はわれわれの想像をはるかに超えている」と投稿。同時に、今回の勝負を終えたら二度と対戦しないと改めて明言した。
世界最強とも言われたほどの人間でも、あっさりと負けを認めるほど、人工知能は進化を遂げている。これほどまでに差をつけられると、もはや人間は、囲碁の世界では人工知能に勝てないのかもしれない。
人工知能が日常に溶け込む日
AlphaGoの活躍を見ていると、記憶力や計算力の分野だけではなく、過去のデータから新しい手を生み出すという意味でも、機械は人間を超えたことを実感する。となると今後、人工知能は様々なジャンルで人間よりも良い仕事をするようになるのは間違いない。
過去、機械は幾度となく人間の力を凌駕してきた。車は人間より早く走るし、飛行機は人間には不可能な「空を飛ぶ」という夢を成し遂げた。そしてどれも発明当時は大きなインパクトを持つものだったが、今や日常生活の一部となっている。
そして人工知能も、過去の発明と同様に、日常に取り込まれていくのだろう。過去のデータが蓄積されるものは、すべからく人工知能によって分析され、予測や改善がされていくだろう。それも、人間よりもはるかに高い精度で。
人間としての期待と不安
僕はこの「人間 vs 人工知能」のイベントで、人工知能が勝つことを期待していた。それは未来の変化に対する期待でもある。その感情は、幼い頃に憧れたヒーローたちに抱く感覚に似ているような気がする。普通の人間にはできないことをあっさりと成し遂げるその姿は、今の人工知能に重なるものがある。
人工知能によって多くの人が職を失うとか、人工知能は人間の敵になるとか、恐れを抱いている人も多い。しかしそんなものは杞憂に過ぎないだろう。過去の産業革命時のラッダイト運動(機械破壊運動)のようなものだと思う。実際いろいろな課題は出てくるだろうが、同時に対策も出てくるだろう。
総じてよくある話になってしまったが、今日はこの辺で。