人生のメモ

琴線に触れた小さなことを、文章に。

人生、なんとかなるもんらしいです

先日、タクシーに乗った。そこそこ長距離で、時間にすれば1時間ぐらいだ。その時に聞いたタクシー運転手の話が興味深かったので、ここで共有してみる。人生に疲れた人には、参考にできる所があるかもしれない。

陽気に話しかけるタクシー運転手

仕事帰り、僕はプライベートでは滅多に使わないタクシーに乗った。「お仕事ですか?」と、スーツ姿の僕に間違えようのない質問が飛んでくる。喋るタイプの運転手か…と、疲れていた僕は少しげんなりしたのだが、冷たくするのも気を遣うので適当に相槌を打っていた。

話の流れで、その運転手は過去に不動産の営業をしていたことがわかった。「なんで転職したんですか?」と聞くと、少し予想外の答えが返ってきた。「株でやってしまいましてね…借金を返すためにいろんな仕事をやってきたんです。」

1億4000万の借金を持つ男

まぁでも借金を持つ人程度ならこの世の中に山ほどいるだろう。損切りできなければ数百万円レベルの借金も簡単に作れる時代だ。興味本位で「借金って結構な額だったんですか?」と聞くと、「驚かせちゃうかもしれませんけど…大体1億4000万ぐらいです。」と言う。まさかの額である。

しかも「でもやっと先日、全部返し終わりましたよ〜。はっはっは」などと笑っている。1人のオッサンが、1億4000万の借金を返せるものなのか?信じがたい話だったが、話し方からも嘘とは思いにくいし、嘘をつくメリットもない。本当なのだろう。

内容は聞かずとも壮絶な人生だったことは想像に容易いが、僕は逆に興味が湧いてきた。どんな仕事をしたらそんなに稼げるものなのか?

借金を返すまでの壮絶人生

彼は、「人殺し以外は何でもやりましたよ。」と言う。なかなか日常生活では聞けないセリフだ。具体例としては「アダルトDVDのダビングと販売」などと言っていたが、他にも色々言えないことをやっていたようだった。ヤクザと交渉したこともあるとのこと。僕は深くは聞かないようにした。

しかし借金を返し終わるまでは絶望ばかりだったという。何度も本気で死のうと思ったと。東尋坊で靴を脱ぐところまで行ったと。それでもやはり死ぬのは怖かった。どんなにつらくても、命は惜しかった。しみじみとそう言っていた。

その話の終わりに、「でも本気で頑張れば、なんとかなるもんですね。」と彼は言った。彼とは初めて会ったし、もう会うこともないと思うが、今までこのセリフを言った人の中で1番説得力があると思った。

人生、なんとかなるもんですって

彼は今、タクシードライバーとして普通の人生を送っているという。安定していて、自分のペースで仕事ができて、頑張ればそこそこ給料もいいらしい。他にもいろいろ話を聞いたが、蛇足になるのでここに書くのはやめておく。

僕は彼のような波乱万丈の人生は送るつもりはない。でも今絶望の淵に立っている人にとっては、この運転手のような人生を歩んだ人の体験談は、少しは心の支えになったりするのかもしれない。そう思って書いてみた。人生、なんとかなるもんらしいです。